鵞足炎(がそくえん)の治療法
鵞足炎(がそくえん)とは鵞足周辺の腱で起こった炎症や滑液胞炎の総称です。鵞足炎が起こりやすいスポーツはサッカーや陸上競技、自転車競技で、膝の屈伸運動を何度も繰り返す長距離を走るスポーツに発症することが多い疾患です。また、強い屈伸が必要なジャンプを頻繁に繰り返すバレーボールやバスケットボールで発症する事もあります。
「鵞足(がそく)」とは、膝関節を屈曲する筋肉のうち薄筋(はくきん)、縫工筋(ほうこうきん)、半腱様筋(はんけんようきん)の3本の筋肉が腱となり脛骨粗面内側部(すねの骨)に付着する場所が鵞鳥(がちょう)の足ヒレに似ていることから、これらの腱付着部を鵞足と呼びます。
3本の腱の下には鵞足包という滑液(腱と他の組織との摩擦抵抗を少なくするための液体)を出す袋があり、鵞足と内側側副靭帯との間に存在します。鵞足包から分泌される滑液は、膝の屈伸運動が繰り返されるときに鵞足と周辺組織との摩擦を減らしスムーズに動くよう調整にします。ですが鵞足包の調整能力を超えて繰り返される場合には対応することができず、鵞足と内側側副靭帯の間で摩擦が起こり炎症が発生します。これが鵞足炎です。
例えば、掌を合わせて何度も摩擦を起こすと暖かくなります。この摩擦を早くすれば暖かくなるのも早くなります。鵞足炎も同様で何度も繰り返される長時間運動や、早い摩擦が起こるジャンプ摩擦による熱が発生し炎症に発展します。
鵞足炎の症状
①痛み
鵞足部(膝内側)に強い痛みが現れ圧痛も認めます。
非常に強い痛みが現れることが多く、通常の歩行も困難になる場合があります。見た目でも赤くなり腫れが認められる、いわゆる炎症所見が確認される事も多くあります。
②運動痛
運動痛が現れるのは、膝の動きに伴って鵞足と内側側副靭帯が摩擦を起こすためで、鵞足を形成する筋肉に負担がかかる動きで痛みが強まります。
・走っている時に前に出ている足を後に引こうとする時
・走る速度を落とすためにブレーキをかける時
・歩幅が広がりすぎてハムストリングスが引っ張られている時
これらで痛みが現れる傾向があります。また下り坂ではスピードが上がるのを抑えるための力が必要となり痛みが強まる傾向があります。
③牽引痛
鵞足を形成する3筋のストレッチを行うと鵞足部分に痛みが現れます。特に内側ハムストリングのストレッチを行うと痛みが誘発されます。これはストレッチによってハムストリングは緊張状態になり内側側副靭帯と接触する圧力が高まり、鵞足炎によって腫れた鵞足包を圧迫する力によるものです。
鵞足炎の原因
鵞足炎の原因は運動時の姿勢や運動フォームの問題が強く影響します。特にスピードを上げるために歩幅を広げた時にはハムストリングスは足が前に出るたびに緊張し内側側副靭帯との摩擦が強まり負担が加わり続けることになります。その他、アップダウンの激しいトレイルランニングの際に下りでスピードを上げることはかなりリスクの高い走り方といえます。
X脚や足が外に向いたいわゆるがに股などの運動アライメント異常は鵞足を形成する筋肉を軽く伸ばしている形状であり鵞足炎の原因となる事があります。
鵞足炎の治療法
鵞足炎の治療では発症からの時期に合わせて治療法が異なります。
急性期や痛みの強い時期には、日常生活にも問題を引き起こすため痛みの軽減が必要となります。鵞足炎は鵞足包に起こる炎症が痛みを引き起こしているため炎症に対する治療が初期治療となります。
鵞足炎の治療で重要なのは痛みが軽減した後で、鵞足炎を引き起こした原因と考えられる部分の治療を行います。治療法としては、鍼灸治療、運動療法、重心位置矯正、テーピングが主体となります。
鵞足炎治療
当院では鵞足炎治療、予防治療に対応しており鍼灸治療、カイロプラクティック療法、テーピング療法を行っています。
鵞足炎(がそくえん)のパターンをわかりやすく説明します。あなた自身の鵞足炎のパターンを理解することによって、有効な治療法や無意味な治療法をあなた自身が判断できるようになります。
治療効果の維持と鵞足炎の再発を防ぐため、一人一人にあった日常でのセルフケアや体操やトレーニングを提案しています。
必要な場合には走り方のフォームの見直しも提案しております。
2012年 アメリカ合衆国オバマ大統領からGOLD AWARD
2015年 国連機関のWHF(World Human Facilty Community)から鍼灸スペシャリスト認定
世界に認められた実力と自負しております。
当院での鵞足炎治療の流れ
女性の方も安心!
鵞足炎治療に来られる方の51%が女性です。
【鵞足炎の鍼灸治療に来院されている方の年齢】
20歳代 … 19%
30歳代 … 26%
40歳代 … 31%
50歳代 … 17%
60歳代 … 7%
(1)問診票のご記入
問診票のご記入いただく時間としてご予約の10分前のご来院お願いしております。
問診票にはお分かりになる範囲でできるだけ詳細にご記入ください。
(2)カウンセリング
記入していただいた問診票をもとに、
『痛みの場所はどのあたりですか?』
『どのような時に痛みが一番強いですか?』
『鵞足炎が発症してからの変化はいかがですか?』
『何もしなくても痛みがありますか?』
などをお尋ねいたします。
(3)検査
膝周辺の状況をチェックをいたします。
チェック
〇膝周辺の圧迫ポイントを確認
〇膝関節の可動域の確認
〇足のアライメント確認
〇重心バランスを確認
等のチェックを行います。
カウンセリングと検査によってえられたデータを基に治療計画を立てます。
(4)説明
カウンセリングと検査をもとに、現在の鵞足炎の状況を把握できた問題点と、これから行う治療内容をていねいに分かりやすく説明いたします。施術方法などわからない事があれば何でも相談・質問してください。
(5)鵞足炎治療
鵞足炎の治療では、症状に合わせて鍼灸治療を中心にカイロプラクティック療法やテーピング療法を行います。
鍼灸治療は”痛い”というイメージがあると思います。当院では、髪の毛ぐらいの太さの鍼を使用しますので痛みはほとんどありません。使用する鍼はすべて日本製の使い捨ての鍼ですので、感染症のリスクはなく安心して治療を受けることができます。
『このような治療を受けたい』等の御希望がある場合には、お気軽にご相談下さい。症状に適応可能であればその治療法で治療を行います。
(6)説明
鵞足炎は強い痛みを伴う疾患で歩行障害により日常生活に大きな影響を与える疾患です。鵞足炎の状態に合わせて痛みを早期に改善する為に重要な御自宅で行う事の出来るセルフケアをアドバイスさせていただきます。
当院では『患者さんに解り易い説明』をモットーにしています。わかりにくいところがあれば、何でもお気軽に質問して下さい。
鵞足炎治療料金
鵞足炎の状況に合わせて最適な方法を選択して治療を行います。症状に合わせて行いますのでご安心ください。
鍼灸治療 3300円~4400円
鍼灸治療ではハムストリングスや薄筋、縫工筋の緊張を緩め大腿骨内側上顆や内側側副靱帯との摩擦が起こりにくい状態の形成と血液循環の促進を目指します。
治療内容:鵞足を形成する筋肉周辺の鍼灸治療を行います。
治療時間:目安は40分程度
カイロプラクティック療法 5500円
カイロプラクティック療法では、仙腸関節(骨盤)より下にある関節のバランスを見直すことで症状の改善と再発予防を目指します。炎症が強い状態の場合には鍼灸治療の適応となります。
治療内容:左右両下肢~仙腸関節のアライメントと重心位置の確認を行い、問題となる関節の矯正を行います。
治療時間:目安は40分程度
※初診時には、初診料が別途2200円必要です。
※院長希望の場合には別途1100円必要です。ご希望の場合には、ご予約の際にお申し出ください。
鵞足炎のセルフケア
○トレーニングの中止
トレーニングを中止する事で膝関節周辺の起こっている炎症を抑える必要があります。ハムストリングのストレッチを行った際に痛みがなくなるレベルまで症状が緩和するまでは基本的にトレーニングを中止することをお勧めします。このレベルであれば短期間で改善する場合がほとんどです。
○アイシングを行う
鵞足炎の初期は炎症を伴います。痛みが現れたら1回10~15分位のアイシングをこまめに行いましょう。炎症が治まるだけでも痛みが和らぎます。鵞足炎の場合には、アイシングを3週間続くらい続けることで症状が軽減する事があります。
用語集
薄筋(はっきん)は大腿の内側にある筋肉で鵞足を構成する筋肉の一つです。薄筋は股関節と膝関節両方に作用する2関節筋で、文字通り薄い形をしています。
【起始】恥骨結合の外側縁
【停止】脛骨上縁
【作用】股関節の内転、膝関節の屈曲および内旋
【支配神経】閉鎖神経(L2~L4)
縫工筋は大腿の前面にある筋肉で、股関節と膝関節の両方に作用する2関節筋です。そして体の中で一番長い筋肉になります。薄筋、半腱様筋とともに鵞足を構成しています。 この筋肉を触ろうとするには大腿を伸展位にし、そこで力を入れます。さらに、そのまま脚を外旋させることでより縫工筋の筋腹を触知することができます。
【起始】上前腸骨棘
【停止】脛骨粗面の内側
【作用】股関節屈曲・外旋・外転、膝関節屈曲
【支配神経】大腿神経(L2、L3)
半腱様筋は大腿の内側にある筋肉で、鵞足を構成する筋肉の一つです。また、大腿二頭筋・半膜様筋とともにハムストリングスも構成します。
大腿二頭筋の長頭の起始部の内側にある細長い筋肉で、膝窩の内側にむかって走行します。 主な動きとして、股関節を伸展し膝関節を屈曲させる動きがあります。 坐位の時にハムストリングスに力を入れる体勢で半腱様筋を触ることができます。
【起始】坐骨結節の内側面
【停止】脛骨粗面にそって薄筋停止部の後下方につき、下腿筋膜につづく
【作用】下腿の屈曲、それと同時に内側方に回す
大腿を固定する時は骨盤を起立させる
【支配神経】脛骨神経(L4、L5、S1、S2)
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